「思考の品質管理」のすゝめ


「思考の品質管理」のすゝめ

 

by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)

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経営陣はプロセスの品質管理には敏感

「御社は、品質を重視しているか?」と問われれば、 多分、全ての会社から「もちろん!」との答えを期待できるだろう。

 

例えば。。。

「当社は、高品質の実現に向けて国際的な品質管理の規格であるISO 9001の要求事項に、当社独自の仕組みを加えた品質マネジメントシステムを導入しています。そして、グローバルに生産会社、販売会社と綿密な連携の下、地域ごと、事業ごとに最適な品質保証体制を実現しています。

 さらには、社長が委員長を努める「品質保証専門委員会」で、全社的に、製品企画、開発設計、量産試作、生産、販売、サービスに至る全てのプロセスにおいて品質を向上させる活動を行っています。またまたさらには〜加えて〜その上〜」

 

延々と、自社の取組みを説明していただけることだろう。

 

事実、日本のほとんどの企業では、品質管理が実施されている。多くの企業は、品質管理部や品質保証部を持つ。

 

とても素晴らしい。

 

そこで対象となるのは、最終的な製品やサービスのみならず、開発設計から生産、販売、サービスなど。ビジネシステム全般に亘るプロセスである。無論、財務、法務、人事、情報システム部門などの管理部門もコンプライアンスを含めた品質管理の対象となる。

 

 

では、プロセスを回す人材側の品質管理はいかに

ここで考えてみたいのは、これらの品質管理の対象となるプロセスを実際にまわしていく人材側の品質管理である。

 

すばり、「人材の品質管理」をしているだろうか?これは、人材側の「思考の品質管理」という意味である。

 

そもそも会社の人材に求める作業は、その根幹でいえば「考える」作業であるはずだ。しっかりと考えながら、そして、持てる知識をうまく使いながら、自分の守備範囲のプロセスをまわして行くことを期待されているはずだ。

 

確かに、業務上の手順を教えるトレーニングはある。座学であったり、OJTであったりする。

 

しかし、全てをマニュアル的に教え込むことには無理がある。とりわけ、非定形型の業務はそうだ。毎度内容が変わる。だから、自分で考えながら行動せざるを得ない。

 

そこで必要となる根本的な「思考の品質」を担保できているかがポイントだ。

 

業務プロセスの品質管理に関してのトレーニングは数多くある。変わって、業務プロセスを実際に操る、人材側の「思考の品質」を管理するトレーニングはしっかり実施されているであろうか?

 

経営者や人材育成担当者は、人材の「思考の品質」の向上に対する高い意識を持ち合わせているであろうか?

 

 

放置しておくと、思考の品質は劣化する

「優秀な人材を育てたい」という経営層の思いは強い。だが、その原点が「思考の品質」の管理にあるという意識は強くないように思われる。

 

人間の思考は放っておくとどんどん歪んで行く。

論理性、実証性、実利性、柔軟性という基準を基に自分の思考の品質をしっかりと検証できる様に日頃から鍛錬しておくことが大切だ。

 

でないと、予期しない出来事が起きた際に、

「こんなことはあり得ない!」

「絶対に考えられない!」

「最悪だ!」

などと口走っしまうかもしれない。

 

また、さほどの緊急事態でないときでも、

「忙しい時に限って、パソコンがフリーズする!」

「取引先のA課長からの電話は、苦情に決まってる!」

「絶対にうまくいくはずはない!」

などと、日常的に思ってしまったりする。

 

これらは全て、論理性、実証性、実利性、柔軟性テストに落ちる低品質の思考だ。

 

人材の品質管理の根幹は、「思考の品質管理」にあると考えるとよい。

 

 

そしてそれは、経営上の最重要課題の一つであるはずだ。