第五水準リーダーの育成課題


第五水準リーダーの育成課題


by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)

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「第五水準のリーダー(経営者)」という考え方をご存知だろうか?

 

J.C.コリンズが、“Good to Great邦訳「ビジョナリーカンパニー2、飛躍の法則」(日経BP社)のなかで、偉大な企業への飛躍を遂げた企業群の研究を通して得た洞察だ。

 

取り急ぎ、コリンズのいう、第五水準までの道のりを紹介しておこう。(以下、上記邦訳からの引用。ただし、邦訳では、willを「意思」と訳しているが、ここでは、「意志」とした。また、“public adulation ”の邦訳「世間の追従」を「世間からの賞賛」とした。)

 

 

第五水準までの諸段階

第1水準(有能な個人):才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする。

第2水準(組織に寄与する個人):組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力する。

第3水準(有能な管理者):人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に、効果的に追求する。

第4水準(有能な経営者):明確で説得力のあるビジョンへの支持とビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでよりも高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える。

第5水準(第5水準の経営者):個人としての謙虚さ職業人としての強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる。

 

 

第五水準のリーダーの二面性

さらに、第五水準のリーダーの特徴である、個人としての謙虚さと職業人としての強さという二面性をコリンズは次の様に敷衍(ふえん)する。

 

個人としての謙虚さ

   おどろくほど謙虚で、世間からの賞賛を避けようとし、決して自慢しない。

   野心は自分個人にではなく企業に向け、次の世代に一層の成功を収められるように後継者を選ぶ。

   鏡ではなく窓をみて、他の人たち、外部要因、幸運が会社の成功をもたらした要因だと考える。

   静かな決意を秘めて行動し、魅力的なカリスマ性によってではなく、高い基準によって組織を活気づかせる。

 

職業人としての意志の強さ

   素晴らしい実績を生み出し、偉大な企業への飛躍をもたらす。

   どれほど困難であっても、長期にわたって最高の実績を生み出すために必要なことはすべて行う固い意志を示す。

   偉大さが永続する企業を築くために基準を設定し、基準を満たせなければ決して満足しない。

   結果が悪かったとき、窓の外ではなく、鏡をみて責任は自分にあると考え、他人や外部要因や運の悪さのためだとは考えない。

 

 

リーダー育成にまつわるメタ認知力強化

この謙虚さと意志力のコンビネーションは、人間の真の成熟さを思わせる。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」に通ずるものを感じる。

 

とりわけ、

「鏡ではなく窓をみて、他の人たち、外部要因、幸運が会社の成功をもたらした要因だと考える。」されど、「結果が悪かったとき、窓の外ではなく、鏡をみて責任は自分にあると考え、他人や外部要因や運の悪さのためだとは考えない。」

という資質は希少だと感じる。

 

それこそ、

「サウイウモノニワタシモナリタイ。。。」

 

第五水準リーダーは、松下幸之助のいう「自己観照」のできている人材なのであろう。認知心理学でいえば、「メタ認知」能力に相当長けている人材だ。「ダブルループ学習」のやり方を心得ている人材。。。

 

メタ認知能力をどう開発できるのだろうか。

リーダー育成に携わるものにとっての重要課題だ。