創造力開発の最重要課題

創造力開発の最重要課題として、リスク許容能力の向上がある。

 


創造力開発の最重要課題

 

by 高杉尚孝(たかすぎひさたか)

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「創造的な人材になって欲しい。。。」

 

 

経営層や教育担当者と意見交換する際、能力開発課題のひとつに「社員の創造性の向上」がある。皆に、より「イノベイティブ」、「クリエイティブ」になって欲しいとの願いだ。

 

一般的な解ではなく、斬新なアイデアを出し、かつ実行できる能力を向上して欲しいという思いである。

 

その背景には、世の中の動きの速さがある。

 

世の中の動きが速くなればなるほど、従来のピラミット型の指揮・統制的な経営では間に合わない。

 

現場で収集されラインを通じて上げられた情報をもとに、上層部がアクションを練る。それを現場にまたラインを通して伝え、現場が実施する。

 

これでは時間がかかりすぎる。。。

 

たとえそれらが適確なアクションであったとしても既に現場の環境は変わっている。

 

指示待ちではなく、状況に合った「創造的」な解をみずから考え出し、実践して欲しいと上は望む。

 

創造性は、「自律的な人材」の大切な資質でもある。

 

 

創造性を高める秘訣はあるのか?

 

では、創造性を劇的に高めるための手法ははたしてあるのだろうか?

 

例えば、ウォールストリートジャーナルは次の10項目を奨励する

 

創造性を高める簡単な10の工夫:

1.青色を多用する

2.意識をもうろうとさせる

3.空想し続ける

4.子供のように考える

5.大いに笑う

6.遠くにいる自分を想像する

7.より一般的な動詞を使う

8.枠組みの外で仕事をする

9.世界を知る

10.大都市に引っ越す

どれもよさそうである。できるものはどんどん実践するとよいだろう。

 

また、企業研修などでよく見かける伝統的な手法として、オズボーン(Osborn, A.F.)によって開発されたブレインストーミング法がある。

 

まず,一切の批判を禁じた上で自由にアイデアを出し合う。出たアイデアを発展させる。そして、アイデアが出尽くしたところで実際に使えそうなアイデアを選択して行くという手法だ。

 

研修を受けたり、職場で実践したりした経験のある読者も少なくないのではないだろうか。

 

他にも、川喜多二郎氏によって開発されたKJなどが紹介されることもある。

 

確かに、数有る既存のアイデアを素に、それらの順列や組合せを変えることによって新しい解につながる場合も多い。

 

これらの手法を否定するつもりは毛頭ない。。。

 

しかし、創造性を開花させる一般的な手法は、どうも根源的な資質を見落としているように思えてならない。

 

 

 

創造的な行為は本質的にハイリスク

 

そもそも、生まれつき人は創造的だ。子供を見ればよく分かる。

 

しかるに、「教育」の過程を通して、創造性は徹底的に削がれて行く。

 

具体的には、

 

問題には正しい答えがあるからして、それさえ暗記すれば良い。けして間違ってはならない。間違う事は恥だ。間違えれば批判される。間違えるとばかにされる。そんなことはあってはならない。私は耐えられない。その様なリスクは絶対に冒してはならない。。。

 

との思い込みを「教育」は、子供に植え付ける。

 

そもそも、テストの点数を上げたいなら、創造的な解などを考えていられない。そんな時間があったら、「正解」を暗記する方が得策だ。。。

 

創造的であるには、一般的な考え方や枠組みを超える発想が重要となる。それは、創造性の定義上だれもが認める「正解」ではない。

 

しかも、良い結果をもたらす保証のない解を出す行為である。

 

おのずと、批判され、馬鹿にされ、無視される確率の高い行為となる。

 

つまり、創造的であることは、本質的にハイリスクな行為なのである。

 

結果、子供は教育を通して、創造的であることがいかに危険かを叩き込まれる。

 

とりわけ、「優秀」、つまり学校での成績がよければ良いほど、リスク回避の傾向が強いとの印象を受ける。

 

また、上から与えられた正解や、一般的な正解であれば、それらを試して失敗したとしても「自分の責任ではない」と、悪い結果を正当化し易いだろう。

 

だが、一般解に反して自分で発案した「創造的」な解を実行した結果失敗したとなると、それはもろ自己責任となる。

 

こう考えると、創造的であるということは、「発案」と「結果」の両方においてとてもリスキーな行為となる。

 

社会人においては、このリスク回避傾向が増々強くなるとの印象を受ける。出世や生活の懸かった業務で、誰が好んで創造性のリスクを冒すであろうか。。。

 

 

 

創造性具現化の基盤はリスク許容能力の向上にある

 

「イノベイティブ」、「クリエイティブ」であることが、すこぶるハイリスクな行為であるとの認識に鑑みると、かかるリスクに対する許容度を高める作業が創造性を高める上での重要課題として浮かび上がる。

 

これには、創造性のリスクを許容する組織の風土造りも確かに大切である。

 

同時に、またはそれ以上に、個々人のリスク許容度を上げる試みもとても肝要である。なぜなら、「創造的」解を表明そして実践するか否かは、最終的には発案者の決定項目であるからだ。

 

個々人のリスク耐性を向上するための効果的な手法にタフネス思考法がある。

 

認知の再構築を通して、創造性の持つリスクに対する恐怖心をその根源において払拭するユニークな手法である。